死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
それはクローディアも同じだが、クローディアがフェルナンドに対して抱いているものはルヴェルグとは違うだろう。クローディアにとってフェルナンドという人間は、かつて自分を騙し、閉じ込め、殺した人間なのだから。

だが、ルヴェルグから見たフェルナンドは、どのような人間なのだろうか。

カップ越しにルヴェルグを見遣ると、ルヴェルグは眉間に皺を寄せていた。考え事をしているのだろうが、顔に出すとは珍しいものだ。

「ルヴェルグ兄様、このお菓子美味しいのよ。食べてみて」

こんな時は、お菓子を薦めるのが一番だ。兄は昔から甘い物が好きで、よく食べていると他の兄たちから聞いている。

「…これは数日前に、ヴァレリアン殿下が持ってきてくれたものによく似ているな」

ルヴェルグはふっと口元を和らげると、お皿に盛り付けられている焼き菓子を一つ手に取ると美味しそうに食べた。

それからのルヴェルグの話によると、ルヴェルグが甘い物が好きだと聞いたリアンが、城下町で大人気の焼き菓子屋にお忍びで買いに行ってくれたらしい。つまり、アンナが出してくれたこれも、リアンが買い求めに行った物ということだ。

「…ならきっと、これもリアンが買ってきてくれたものね」

クローディアは花の形をしているクッキーをひとつ手に取り、花びらの部分を少し齧った。ほんのりと甘く、優しい味がした。
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