死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「……貴方は、アルメリア、さん?」
リアンの問いかけに、菫色の瞳が大きく揺れる。それを見て、目の前にいる少年は嘘がつけない人だと分かった。
少年は何も言わなかった。きっとそれが答えなのだろう。肯定も否定もしなかったのだから。
しばらくの間、二人の間には沈黙が流れていたが、それを先に破ったのは少年の方だった。
「僕は……死人同然なのです」
それすなわち、この世にはいないものなのだと少年は言う。それを聞いて、リアンは泣きたいような気持ちになった。
やはりアルメリアは人の名だったのだ。それも、生きている人だった。もう逢えないとクローディアは泣いていたけれど、こうして目の前で息をしている。
「……ディアは今でも、貴方のことを想っています」
「そんなはずは…」
「アルメリアの花が咲いた日、嬉しそうに笑っていました」
大きな菫色の瞳が見開かれる。はらはらと惜しげもなく透明な雫を落としていくそれは、クローディアと似ている気がした。
「……僕は…」
「お願いします、ディアに会ってあげてください。ほんのひと時だけでもいいので」
リアンは少年の声を遮って、勢いよく頭を下げた。手は掴んだままだ。離してはいけないと直感が言っている。
少年は瞳を濡らしたまま、何度も首を横に振ると、リアンの手を振り払ってフードを被った。