死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
唇が震えて、声が出せない。泣いてなどいないと否定をして、彼女が恋しがっていた人に逢えたのだと、自分を置いて追いかけろと伝えたいのに、喉元を迫り上がってくるのは声にならない声ばかりだ。
「リアン、どうして泣いているの? 何かあったの? どこか苦しいの?」
クローディアは少しだけ屈んで、リアンと目線を合わせる。その眼差しは優しく、リアンを気遣う声音は柔く、手に灯る熱は温かく。それらが今この瞬間、自分だけのものになっていることに、声を上げて泣きたくなったリアンは、クローディアを両腕で思いきり抱きしめた。
「リ、リアンッ…?!」
突然のことにクローディアは驚いていたが、リアンの身体が震えていることに気づくと、ゆっくりと背を摩り始めた。
「…泣かないで。リアン」
「泣いて、ないし」
「泣いたら美人が台無しよ」
「それは男が女に言う台詞だって、言ったじゃん」
そうだったかしら、とクローディアは朗らかに笑う。そうこうしているうちに、呼吸が落ち着いたリアンはゆっくりとクローディアから離れると、真っ直ぐに菫色の瞳を見つめ、口を開いた。
「ディアに聞いてほしいことがあるんだ」
リアンの真剣な表情に、クローディアはごくりと喉を鳴らしてから小さく頷いた。それを見たリアンは、クローディアの手に触れたまま深呼吸をすると、唇を動かした。