死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
ローレンスは幼少期より次期皇帝に相応しい優秀な皇子だと誰もに賞賛されていた。本人もそのつもりだったのか、文武ともに努力を怠ることなく、懸命に励んでいたのをティターニアも見ている。
だが、今はひとりの皇弟に過ぎず、その職務は外交だ。戦を経験したことも軍の指揮をしたこともないローレンスが、単身ティターニアの元に来るなり、挙兵を願い出たことに驚きを隠せないのだ。
ティターニアが実践経験のある皇后であったことは、この国の誰もが知っている。だが今は引退の身だ。最後に兵を率いたのはもう昔のこと。
そんな自分に、力を貸してくれとやって来た孫に、何と返すべきか。何を返すべきか。
「……しばらく見ない間に、立派になったこと」
ティターニアは息子に似ても似つかないローレンスを見て、唇を綻ばせた。
ローレンスは親兄弟に似ていないが、祖母のティターニアに性質が似ていた。すぐに行動に移すところや、嘘を吐けないところが。
「ローレンス、ひとつだけ聞かせてくれる? ジェラールへの援軍の要請と私に逢いに来たのは、貴方自身が考えた選択かしら」
ティターニアからの問いかけに、ローレンスは笑って首を左右に振った。
「いいえ、お祖母様。これは不思議な出逢いをした“友”が、僕に進言してくれたことです」
正直者なローレンスの答えに、ティターニアは思わず目を見張ったが、すぐに破顔した。
──貴方の願いに応えましょう。そう言って、ティターニアはローレンスを一度だけ抱きしめると、緊急時に鳴らす金の音を城中に響かせたのだった。
だが、今はひとりの皇弟に過ぎず、その職務は外交だ。戦を経験したことも軍の指揮をしたこともないローレンスが、単身ティターニアの元に来るなり、挙兵を願い出たことに驚きを隠せないのだ。
ティターニアが実践経験のある皇后であったことは、この国の誰もが知っている。だが今は引退の身だ。最後に兵を率いたのはもう昔のこと。
そんな自分に、力を貸してくれとやって来た孫に、何と返すべきか。何を返すべきか。
「……しばらく見ない間に、立派になったこと」
ティターニアは息子に似ても似つかないローレンスを見て、唇を綻ばせた。
ローレンスは親兄弟に似ていないが、祖母のティターニアに性質が似ていた。すぐに行動に移すところや、嘘を吐けないところが。
「ローレンス、ひとつだけ聞かせてくれる? ジェラールへの援軍の要請と私に逢いに来たのは、貴方自身が考えた選択かしら」
ティターニアからの問いかけに、ローレンスは笑って首を左右に振った。
「いいえ、お祖母様。これは不思議な出逢いをした“友”が、僕に進言してくれたことです」
正直者なローレンスの答えに、ティターニアは思わず目を見張ったが、すぐに破顔した。
──貴方の願いに応えましょう。そう言って、ティターニアはローレンスを一度だけ抱きしめると、緊急時に鳴らす金の音を城中に響かせたのだった。