死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
◇
弾き飛ばされたフェルナンドの剣は、宙でくるくると回転しながら、花壇の土に突き刺さった。その拍子に痛めたのか、フェルナンドは手首を押さえている。
だがその双眸はクローディアの前に立ちはだかった何者かへと注がれていた。取り憑かれたように、じっと。
「神は何故、貴方のような人間に機会を与えたのでしょうか」
冷ややかな声がその場に響いた。その声は間一髪のところでクローディアを守った、目の前にいる人のものだ。
外套が風ではためいている。その人は凍りついたように動かなくなったフェルナンドに背を向け、クローディアへと向き直ると、そっとフードを下ろした。
露わになった顔を見て、それが誰かなど考えるまでもなかった。
「間に合ってよかったです」
クローディアを助けてくれたのは、自分と同じ年頃の少年だった。白銀色の髪と菫色の瞳を持つ、春の花のような柔さを纏う不思議な男の子。
その少年を、クローディアは知っていた。
一度だけ、会ったことがあるのだ。
悪夢から目を醒ましてから、翌る日の夜に──夢の中で。
その名を知っているというのに、奏でられずにいるクローディアを、少年は泣きそうな顔で見つめていた。
だがクローディアが怪我をしていることに気づくと、血を滴らせている右手にハンカチを巻きつけ、着ていた外套をクローディアに羽織らせると、消えそうな微笑を飾った。
弾き飛ばされたフェルナンドの剣は、宙でくるくると回転しながら、花壇の土に突き刺さった。その拍子に痛めたのか、フェルナンドは手首を押さえている。
だがその双眸はクローディアの前に立ちはだかった何者かへと注がれていた。取り憑かれたように、じっと。
「神は何故、貴方のような人間に機会を与えたのでしょうか」
冷ややかな声がその場に響いた。その声は間一髪のところでクローディアを守った、目の前にいる人のものだ。
外套が風ではためいている。その人は凍りついたように動かなくなったフェルナンドに背を向け、クローディアへと向き直ると、そっとフードを下ろした。
露わになった顔を見て、それが誰かなど考えるまでもなかった。
「間に合ってよかったです」
クローディアを助けてくれたのは、自分と同じ年頃の少年だった。白銀色の髪と菫色の瞳を持つ、春の花のような柔さを纏う不思議な男の子。
その少年を、クローディアは知っていた。
一度だけ、会ったことがあるのだ。
悪夢から目を醒ましてから、翌る日の夜に──夢の中で。
その名を知っているというのに、奏でられずにいるクローディアを、少年は泣きそうな顔で見つめていた。
だがクローディアが怪我をしていることに気づくと、血を滴らせている右手にハンカチを巻きつけ、着ていた外套をクローディアに羽織らせると、消えそうな微笑を飾った。