死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる

「ようやくお会いできましたね」

羽のように柔らかな口付けが、クローディアの手の甲に落とされる。それは帝国では近しい間柄である異性にする挨拶だ。

「……あなたは、アルメリア?」

「はい、母上。貴女の息子です」

腰が抜けそうなほどの安堵感を覚えながら、クローディは目の前に現れた少年の手に触れ、信じられないものを見るような気持ちで少年を見つめた。
その姿は涙でにじんでぼやけていった。

「──どうしてお前がここに?」

ふらりと立ち上がったフェルナンドが、目を見開きながらそう問いかける。

「それは私の台詞です」

少年──アルメリアは弾かれたようにフェルナンドの方を向き、クローディアを背に庇うと、フェルナンドの後方に聳える宮殿を見上げた。

「私は母が生前暮らしていた、この宮で育ちましたから」

クローディアは自分よりも頭ひとつ分背の高いアルメリアを見上げた。どうして自分が生きている過去にいるのか、どうやって来たのか、聞きたいことはたくさんあったが──今はただ、抱くことすらできなかった我が子の姿を見つめていたかった。

「……その手で血の繋がった父親を殺めておきながら、よくも顔を見せられたな」

「私に逢いたかったから、また母上のことを求め、このような凶行に及んでいるのではないのですか?」

「戯けたことを言うな」
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