死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる

隣にいるアルメリアからの視線を感じて、クローディアは顔を上げた。

柔らかい印象の目元は両親(ふたり)ではなくエレノスに似ている。すっと通った鼻筋はルヴェルグ似だろうか。フェルナンドに似ているところがひとつもなくてよかったと思う。

「……十五の時に皇位を継承した私は、叔父上によって支配下に置かれていた王国に赴きました。そして、牢に繋がれていたこの男に会った」

ぎゅっと、クローディアの手を握る力が強まる。
クローディアの死後のことを語るのが辛いのか、フェルナンドの話をしたくないのか、どちらなのかは窺えない。

「この男は言いました。息子ならば私を救え、ここから出せ、と」

「…………」

「母を愛していたかと問いかけた私に、この男はこう言ったのです。──愛などない、と。みんな死ねばいい、滅べばいいと言った。何も手に入らない生に意味などないとっ…」

アルメリアの声音は濡れていた。聞いていて堪らない気持ちになったクローディアは、白い頬にそっと手を伸ばした。

アルメリアは驚いたようにクローディアを見たが、すぐに笑んだ。瞳を哀しげに揺らしながら、再びフェルナンドを見据える。

「……そんなふうに語るこの男に、母は騙され、閉じ込められ、小さな部屋で命を落とした。母上はどんな想いで私を産んだのかと、私を恨んではいないかと、幾度も思いました」

「あなたを恨んでなんか…」

一度もないと言いかけたクローディアの声は、アルメリアの人差し指によって声にならなかった。
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