死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる

懐かしい匂いと温もりに、クローディアは声を上げて泣きたくなった。エレノスも同じ想いなのか、クローディアを抱きしめる腕は微かに震えている。

数えればそんなに経っていないことは分かっていたが、随分と会っていないような気がした。

「おにいさまっ…!!」

「ディア、無事でよかった…」

エレノスはクローディアの無事を確かめると、すぐに腕をほどき、フェルナンドを見据えた。

「──フェルナンド殿下。そこまでにして頂きます」

「私を裏切るのですね、エレノス閣下」

すっかり気力を失ったような顔をしているフェルナンドは、へらりとだらしなく笑っている。そこにクローディアを愛していると言って咽び泣いていた男の面影はもうない。ただ面倒くさそうにこちらを見ていた。

「貴方が描く明日に、幸せそうに微笑んでいるディアはいないと思うのです」

「…………」

「私は愛する人が愛するものを守りたい。──誓ったのです。この子の小さな手にはじめて指を掴まれた日に、何に代えても守り抜くと」

言いたいことを全て言い終えたのか、エレノスはクローディアに向き直る。その表情は憑き物が落ちたように晴れやかで、一切の迷いも感じられなかった。
< 325 / 340 >

この作品をシェア

pagetop