死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
懐かしい匂いと温もりに、クローディアは声を上げて泣きたくなった。エレノスも同じ想いなのか、クローディアを抱きしめる腕は微かに震えている。
数えればそんなに経っていないことは分かっていたが、随分と会っていないような気がした。
「おにいさまっ…!!」
「ディア、無事でよかった…」
エレノスはクローディアの無事を確かめると、すぐに腕をほどき、フェルナンドを見据えた。
「──フェルナンド殿下。そこまでにして頂きます」
「私を裏切るのですね、エレノス閣下」
すっかり気力を失ったような顔をしているフェルナンドは、へらりとだらしなく笑っている。そこにクローディアを愛していると言って咽び泣いていた男の面影はもうない。ただ面倒くさそうにこちらを見ていた。
「貴方が描く明日に、幸せそうに微笑んでいるディアはいないと思うのです」
「…………」
「私は愛する人が愛するものを守りたい。──誓ったのです。この子の小さな手にはじめて指を掴まれた日に、何に代えても守り抜くと」
言いたいことを全て言い終えたのか、エレノスはクローディアに向き直る。その表情は憑き物が落ちたように晴れやかで、一切の迷いも感じられなかった。