死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「すまない、ディア。私は間違っていた」
嘘か真か定かでない話を、同情心から鵜呑みにしてしまったこと。誰にも何も相談せずに、自分の立場を忘れて行動してしまったこと。家族を危険な目に遭わせてしまったこと。
そして、何よりも大切にしなければならないものを、忘れていたこと。
エレノスはひとつひとつ謝ると、クローディアの頬に手を添え、額に柔らかな口付けを落とした。
「…………どいつもこいつも」
その時、再会を喜ぶ兄妹の背後で、地を這うような声が落とされた。内容まで聞こえていなかったクローディアは、エレノスと共に振り返り──そして大きく目を見開いた。
「──死ねッ!クローディア!!」
隙を突いて、拾ったのか。アルメリアによって手元から離れたはずの剣が、再びフェルナンドの手に握られていた。それは真っ直ぐに、クローディアを目掛けて突き出されている。
咄嗟にエレノスがクローディアを抱きしめ、同時に騎士が駆け出すのが見えた。
だが、兄の背中越しに見えていたフェルナンドの前に立ちはだかったのは、アルメリアだった。
「あ…あ……アルメ、リア…」
ぱたぱたと地面に赤が散った。フェルナンド以外の人間は、呆然とそれを見ていた。