死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「……もう、おやめください…」
フェルナンドの刃を受けたアルメリアは、腹部に突き刺さる剣の柄に手を添えながら、覚束ない足取りでフェルナンドに近づいた。
そして腰に差していた短い剣を抜くと、勢いよくフェルナンドの胸に突き立て──そのままフェルナンドと共に地面に倒れ込む。
「うあああああああああ!!」
フェルナンドは荒ぶる感情を吐き出すような、恐ろしい叫び声を上げた。その両眼からは啖呵を切ったように、大粒の涙が溢れている。
アルメリアを刺し、そしてアルメリアに刺されたフェルナンドは、ごほごほと口から血を吐きながら、泣いていた。
そんなフェルナンドを、アルメリアは哀れむような目で見つめていたが、フェルナンドの呼吸が不規則になったのを機に、ふらりと立ち上がった。
かつて父だった男を見下ろす目には、涙が浮かんでいる。
「……あなたは、愛されたかったのでしょう? お父上に、お母上に……母上に、私に」
「……わた……は…」
「…ですがもう、全てが遅いです。人を人として扱わず、己の思うがままに好き勝手にした報いだと、思ってください」
最後の最後まで父と呼ばなかったアルメリアに、フェルナンドは何も言わなかった。その唇は何かを紡ごうとしていたが、それが声となり音となることはなく、フェルナンドは動かなくなった。
事切れるのを一番近くで見ていたアルメリアの身体が崩れるのと、二人が駆け出したのは同時だった。
白銀色の美しい髪が、その衝撃でまばらに散る。