死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「此度の件は、そちらの王太子が単独で行ったことだと分かっている。しかし、こちらは皇女が怪我を負わされ、国境付近の民には一時的とはいえ避難を強いている」

「誠に申し訳ございませんでした」

「私は謝罪を求めているわけではない」

ルヴェルグは玉座から腰を上げると、ロイスチェラムの目の前まで歩み寄った。

「貴国には、もう二度とこのようなことが起きないようにしてもらいたい。そもそも王太子は、なぜ事を起こしたのか──その動機となったことを、国から失くしてほしいのだ」

目の前に落ちる影を見て、ロイスチェラムが弾かれたように顔を上げる。

「貴方は自分の息子が何故あのような事を起こしたのか、その原因を知っているだろうか」

ロイスチェラムが軽く目を瞠る。
馬を飛ばして帝国に来たのは、謝罪と償いをする為だが、ルヴェルグはどちらも求めてこなかった。身体を痛めつけられるか、或いは辱められることも覚悟していたロイスチェラムに求められたのは、これから先のことだ。

「……ええ。あの子は私を恨み、王位に固執していましたから」

「恨まれるようなことをした覚えは? 王位を欲していた理由は?」

「どちらも分かっております。しかしこればかりは他国の者に話すわけにはゆきません。その資格があるのは、ヴァレリアンだけなのです」

ルヴェルグは一瞬驚いたように目を瞠ったが、すぐにいつもの厳しい表情へと戻し、リアンへと目を向けた。

ロイスチェラムの斜め後ろで控えていたリアンは、一体何の話をしているのかとでも言いたげに、大きく目を見開いている。
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