死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
時が戻ったあの日から十日。これからどうすればいいのか悩みに暮れていたクローディアは、宮から出ることがなくなった。
元より幼い頃から病弱で、よく身体を壊しては寝込んでいた為、ひと月以上篭っていても心配してくれるのは家族くらいだ。
だからこのままここでひとり静かに過ごし、やがて舞い込んでくるであろう縁談も断れば、戦など起きない平和で穏やかな世が訪れるのではないかと思っていた。
そんなある日、塞ぎ込んでしまった主人を心配したアンナがエレノスを呼んだ。
悪夢を見た日から様子が変なのだと聞いたエレノスは両手いっぱいの花束と、クローディアが好きな菓子を持って訪れた。
「中々会いに来れなくてすまないね、ディア。ここのところ元気がないと聞いたんだが、何かあったのかい?」
エレノスは忙しい合間を縫って来てくれたのか、端正な顔からは疲労の色が伺えた。長兄である皇帝ルヴェルグの負担を少しでも減らすために、仕事を沢山請け負っているのだろう。
「お兄様…ごめんなさい、私は元気よ」
クローディアはぎこちない微笑を浮かべた。身も心も元気というわけではないが、身体は問題ないのだ。
そんなクローディアをエレノスはしばらくじっと観察していたが、やがて小さなため息とともにクローディアの隣に腰を下ろした。