死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
翌日、クローディアは侍女のアンナと一緒に城下へ出かけた。町娘に見えるよう、地味なワンピースを着て帽子を被ったが、どこをどう見てもお忍びでやってきた貴族の令嬢のようだった。
建国千年祭を明日に控えている今、城下は警備のために騎士が巡廻していた。なんでも、こういうお祭り事があると人は気が抜けて、ついやらかしてしまうことがあるのだとか。
──だから決してアンナの傍を離れてはいけないよ。そうエレノスと約束をしたクローディアは、石造りの街の中をゆっくりと歩き出した。
時を遡る前、クローディアが嫁いだ王国の民は皆神の教えに敬信的で、お祝い事といえば王族の吉報と神が生まれた日を祝うことくらいだった。
それに比べ帝国は身分制度があることを除けば自由な国だ。
皇帝に仕える貴族がいて、貴族に仕える民がいて、民のために平和な世をつくる皇帝がいる。
そして皇帝を支える兄たちがいて、そんな兄たちが大好きな自分がいたが、これからは一国の皇女として、国と家族のために何ができるかを考えなければならない。
甘い言葉を囁いて、偽りの微笑みを浮かべるような男の元に嫁がないために。