死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「あ、見てください!皇…お嬢様!あれ、すっごく美味しいんですよ!」
早速自分のことを皇女様と呼ぼうとしたアンナを見てクローディアは苦笑した。お忍びで行くと言ったのに。
「真っ白ね。お菓子なの?」
アンナが指差した先にあるのは、お菓子を売っている屋台のようだった。白い雲のようなものが棒に挿さっている。
「ええ、お菓子です!今買って参りますので、少々お待ちくださいね!」
クローディアが興味を示したことが嬉しかったのか、アンナは財布を片手に店へと走っていった。
きっと兄にお小遣いをもらったのだろう。お小遣いをもらっても使い道が分からない自分とは違い、アンナは世の中のことをよく分かっているから。
クローディアは近くにあったベンチに腰を下ろし、青く澄み渡っている空を見上げた。
いくら皇女とはいえ、一人で街に行けないどころか、お金の使い方すら分からないのは情けないことではないだろうか。
これまで病弱だからという理由で、あれもこれもやらなくていいと言われ、皇族として必要な礼儀作法と知識、公務以外は何も触れてこなかった。
その為クローディアはこの国の人たちがどんな暮らしをしているのか、そもそもこのアウストリアがどのような国なのか、未だに把握しきれていないのだ。
それを兄たちに言ったところで、知らなくてもいいのだと甘やかされそうだが。
皇宮に帰ったらまずはこの国のことを知ることから始めよう。そう心に決めた瞬間、子供の泣き声が耳に入った。
クローディアはベンチから立ち上がり、声を頼りに駆け出した。どうして傍を離れたのかとアンナに怒られそうだが、理由を言えば分かってくれるはずだ。