死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「怖かったね。あのオジサンと何があったの?」
──オジサン? 物珍しい呼び方を聞いたクローディアはぱちぱちと瞬きをした。伯父なら分かるが、オジサンって何だろうと。
「…僕の妹が病気で、それで何か食べるものをと思って」
「だからって、盗みを働いたらだめだよ」
「だって、お祭りがあるからって、どれもみんないつもより高いんだもん…」
食べるものがなくて困ってるのに、と子供は泣き出した。一緒にいるもう一人の子供は妹なのだろう。ずっと泣いているうえ、顔色も悪く痩せている。満足に食事が出来ていないのかもしれない。
「…新しい王様は、子供は働いちゃ駄目だって決めたでしょう?そのせいで僕は妹にご飯を食べさせてあげられなくなって」
そう言って、男の子はクローディアへと視線を移した。縋るような眼差しを向けられ、クローディアの胸はちくりと痛んだ。
新しい王様は兄のルヴェルグだ。新たな改革を進め政治を行っているのは兄たちと政治家達であり、クローディアは何もしていない。
けれど、何もしていないことが罪のように感じられたクローディアは、金髪の少年の隣に腰を下ろし、小さな頭をそっと撫でた。
男の子はひとしきり泣くと、服の中に隠していたパンを取り出した。