死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「…盗んだのは、本当にごめんなさい。あとでちゃんとおじさんに謝るよ」
真っ赤になった瞳でそう言った男の子を見て、少年は静かに微笑むと、懐中から何かを取り出すと男の子の手に握らせた。
「これで何か食べな」
渡されたものを見て、男の子はぱっと顔を輝かせた。どうやら銀貨を貰ったようだ。
男の子は妹の手を取ると、少年に何度も頭を下げながら去っていった。その後ろ姿を見送ったクローディアは、服の中に隠れているペンダントの辺りに手を置いた。
あの銀貨一枚で、あの子供たちは何日食べていけるのだろう。私が今着けているペンダントは、銀貨何枚分の価値があるのだろう、と。
「……この国には、満足にご飯が食べられない子供がいたのね」
小さな声でそう呟いたクローディアは、ぎゅっと唇を引き結んだ。胸元を押さえる手に力が入る。どうしてそんなことすら知らないのだろう、と自分を情けなく思っているのだ。
絞り出すようなクローディアの声を聞き逃すことなく拾った少年はフードを被り直すと、小さな兄妹が去ってから何故か落ち込んでいるクローディアへと目を向けた。
「…貴女のせいじゃないでしょ」
いいえ、とクローディアは首を横に振る。
知らないことこそが罪なのだ。皇族として生まれながら、理由をつけてその責務を放棄していた。目を向けようとさえしなかった。
ずっと、幸せな世界で守られていた。