一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
「特別なんて……。
それに、きっと…クロエさんは自分と一緒にいても、別に楽しくはないと思います……」

「あら…どうして?」

「……すいません、こんな話」

「良いのよ、私で良かったら話してみて。
あの子には言わないから、大丈夫よ」

「会話も、笑顔も少ないですし、共通点も…そんなにないんです…」

つい、ネガティブな感情を口にしてしまった。
クロエさんは自分と一緒にいて、本当のところどう思っているのか、よくわからない。

「クロエじゃなくて、アオイちゃんは?
アオイちゃんは共通点がないと、会話がないと楽しくない?」

「そんな事ないです。
クロエさんといると…会話がなくても気にならなくて……すごく、楽なんです」

最初は沈黙が気まずいと思ったけれど、今はそう思っていない。
無理に笑ったり、会話を探さないでも良いんだと思えた。
それがとても、楽だった。

「人と人って、共通点だとか、会話の量だとかで測れないと思うわよ。
それに、表情でもね」

そう言うと瑤子はにっこりと笑った。
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