一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
自分を見つめるクロエさんの視線と、執拗に動く舌で頭の中がふわふわしてくる。
クロエさんの舌のピアスボールが時折、自分の舌や歯に当たると、ますます舌を入れられている事を実感した。
もっとこのまま、クロエさんと交じり合ってしまいたい。

背中を撫でる手がシャツの中へと入ると、くすぐる様に指先を這わされた。
思わず目を瞑ると「駄目」と言われ、線を引く様に背筋に爪を立てられる。

目を閉じないように必死でいればいる程、クロエさんは指も舌も動かす。

気が付くと、必死でクロエさんの背中を掴んでいた。
爪を立てていると誤解されないように、シャツだけを掴んだ。

背中が反ってしまうと、クロエさんは首を抑える手に力を加えた。

息がうまく出来ない。


お互いの息遣いが、玄関でただ響いていく。


ちぃちゃんの鳴き声が聞こえてくると、クロエさんは唇を離した。



「……オレの部屋に…ベッドに行っても、良い?」



いつもより熱っぽい声で言われたその言葉の意味は、ちゃんとわかっていた。

瞬きを何度かしてから小さく頷くと、クロエさんは手を取った。
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