一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
初めて入るクロエさんの部屋は、床も天井も壁も、ベッドもシーツも。
すべてが真っ白で、余計なものは一つもなかった。
防音なのか、外の音もまったく入ってこない。


真っ白い空間は、すぐに二人の熱と息遣いで染め上げられていった。


クロエさんの香りがするシーツの中で抱き合い、キスの続きをしながら、お互いのシャツのボタンを外し合う。

指先が少し震えて、上手くボタンが外せなかった。
クロエさんが手伝ってくれて、どうにかすべてのボタンを外せた。

肌と肌が触れ合って、体温が交じっていく。

クロエさんの指先はいつも通りに身体の上で器用に動いて、どこを触れば反応するかは、もうわかっている様だった。

だけど時折、その指先は躊躇(ためら)いがちになった。


本当に、良いの?

まるで、そう聞くみたいに。


その質問に答えるように、自分からもクロエさんに指を這わせてみたけれど、やっぱりぎこちなくて、上手くは出来なかった。
それでも、クロエさんは息を漏らした。
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