御曹司の溺愛から逃げられません
「瑛太さん。ワンピースのお金払います」

「いらないよ。付き合ってるみたいな気になってちょっと楽しかった。これはあげるよ。本当に似合うと思ったんだ」

会社で見る彼の姿とはどんどん印象が変わっていく。どちらが良いわけでも、悪いわけでもない。ただ、今まで見たことない新しい彼の姿を見ていると思う。

「今日の格好も凄く良いよ。会社にも着てくればいいのに」

「こういう格好は似合わないので、自分だけで休みの日に楽しんでいるんです」

「似合わない? むしろ、ものすごく似合って可愛いと思うが」

え?
可愛いって聞こえた気がする。

「でも、私には似合わないって……」

「誰が言うんだ? 俺は今のこの格好もさっきのワンピースも柴山の雰囲気に合っていると思う。強いて言えば今日の格好は俺と色を合わせたのかと思うくらいにコーディネートされてるよな」

そう言われてみると同じような色合いの服を着ている。周りの人からもそう思われたのかもと思うとドキドキした。

「今度この服を着て一緒にまた出かけよう。それをお礼にしよう」

彼は勝手に決めてしまうが嫌じゃない自分がいる。一緒にいるだけで楽しくなってしまう、そんな彼に惹かれ始めていた。
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