御曹司の溺愛から逃げられません
その後、瑛太さんの服も見るが何故か私に選ぶよう言われ本気で悩んだ。
彼みたいな人の服を選ぶなんてどうしたらいいのかわからず困り果てた。
店員に「彼女に選んでもらうので大丈夫です」と言われてしまい、彼女たちはそそくさといなくなってしまったのでどうしたらいいのかと途方に暮れた。
その時にハッと目に入ってきた茶色のセーターがあった。無難かもしれないが、彼が着るととてもおしゃれに見えた。肌触りも良く、質の良さを感じる。いいものは長く使えるから、とついいつもの癖で倹約が頭に浮かんでしまう。

「これ、どうですか? さっきの黒も良かったですが、こんな柔らかい色合いも似合うと思うのですが……」

「なかなか茶系を着ることはなかったが、確かに凄くいい気がする。よし、これを買おう」

「え? もう買うんですか? もっと悩まないと」

さっきの私のワンピースといい彼は決断が早い。店員を呼ぶと会計を促していた。

「いいのが買えたよ。自分で買い物するといつも同じようなものばかりになってしまうんだ。だから新鮮だったよ。ありがとう」

「良かったんでしょうか? 瑛太さんのイメージは黒ですよね」

「人がなんて思うかではなく、自分が着たいと思ったものだからいいんだ」

その考えた方に潔さを感じた。そして私も同意した。
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