御曹司の溺愛から逃げられません
「柴山は仕事が好きか?」

「え?」

私の心を読むように尋ねられた。
なんて答えたらいいのかわからない。戸惑っていると瑛太さんは笑っていた。

「仕事は大変だよな。俺は今の仕事が好きだ。お客様にいい家、いい部屋を探す手伝いをするのも街が活性化するために開発していく仕事も好きだ。やりがいを感じているんだ」

「私もこの仕事が好きです。でも、職人さんのような情熱ややりがいがあるかと言われると分からないです。もっとやりがいを感じたいと思ったりもしますが、今の私には高望みなのもわかってます」

「高望みではないだろ? 柴山は縁の下の力持ちで目立たないがよくやってくれていると思う。でもそろそろそこからステップアップしてもいいと思っていた」

彼からの意外な話に驚いた。

「ただ、人のサポートが上手いからそこを伸ばしてあげたいと思っている」

少し真面目な顔になった瑛太さんを見て驚いた。けれど私をよく見てくれていると感じ、少しだけ嬉しくなった。

「ありがとうございます。確かに私は誰かのサポートをするのも好きなんです。だから今の仕事は嫌いじゃないです。やりがいが無いわけじゃないけど、情熱のようなものでなくて淡々とこなしているだけ。でも仕事ってそういうものかもしれないです」

「そうだな。情熱を注げるまでの仕事につけるのはそんなにないかもしれない。でも見つけられたら凄いよな」

私は頷いた。
ここのパティシエのように情熱を注げる仕事が出来たら素晴らしいと思う。
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