スパダリの秘密〜私の恋人はどこか抜けている〜
以降事業部の成績は歴代最高を記録し、役職者にも関わらず、半期の優秀社員社長賞を受賞するという強者だ。言うまでもなく受賞を狙っていた有紗としては、どうやっても勝てない相手に悔しくてたまらなかった。
「でも、これで今度こそ有紗の受賞確定だね。鶴生さんは受賞しちゃったわけだし」
「それが嫌なの! 結局二番手じゃない、私は」
「うーん、そうかもしれないけど。そもそも役職どころか年齢だって違うんだから、比べなくてもいいと思うよ? なんたって有紗は変わらず同期のエースですからっ! 自信持って!」
ゆかりは持ち上げるように有紗の肩を叩く。六年目ともなれば、有紗の扱い方など朝飯前だ。そして、念のため小声でとっておきの言葉を付け加えた。
「それに、あのみーんなの憧れの的に愛されてる有紗が一番すごいよ」
「なっ……」
「帰って喧嘩しないようにね?」
ひらひらと手を振って、ゆかりが自席へと戻っていく。
その姿を目で追っていると、慶汰と不意に目が合ってしまった。
「っ……」
誰にも気づかれないように微かに微笑まれ、不覚にも胸が高鳴ってしまう。有紗は照れくささを隠すようにデスクに向かい合った。
◇
時刻は夜の十時過ぎ。有紗が残業を終えて帰宅をすると、玄関を開けた瞬間に食欲をそそる匂いが漂ってきた。
「おかえり。残業お疲れさま」
「……ただいま。慶汰さんもね」
明かりが灯るリビングに足を踏み入れると、ゆるいTシャツを着こなした慶汰が出迎える。なぜ上司である彼がここにいるのか――言うまでもなく、二人は恋人同士だからである。
「でも、これで今度こそ有紗の受賞確定だね。鶴生さんは受賞しちゃったわけだし」
「それが嫌なの! 結局二番手じゃない、私は」
「うーん、そうかもしれないけど。そもそも役職どころか年齢だって違うんだから、比べなくてもいいと思うよ? なんたって有紗は変わらず同期のエースですからっ! 自信持って!」
ゆかりは持ち上げるように有紗の肩を叩く。六年目ともなれば、有紗の扱い方など朝飯前だ。そして、念のため小声でとっておきの言葉を付け加えた。
「それに、あのみーんなの憧れの的に愛されてる有紗が一番すごいよ」
「なっ……」
「帰って喧嘩しないようにね?」
ひらひらと手を振って、ゆかりが自席へと戻っていく。
その姿を目で追っていると、慶汰と不意に目が合ってしまった。
「っ……」
誰にも気づかれないように微かに微笑まれ、不覚にも胸が高鳴ってしまう。有紗は照れくささを隠すようにデスクに向かい合った。
◇
時刻は夜の十時過ぎ。有紗が残業を終えて帰宅をすると、玄関を開けた瞬間に食欲をそそる匂いが漂ってきた。
「おかえり。残業お疲れさま」
「……ただいま。慶汰さんもね」
明かりが灯るリビングに足を踏み入れると、ゆるいTシャツを着こなした慶汰が出迎える。なぜ上司である彼がここにいるのか――言うまでもなく、二人は恋人同士だからである。