Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜
周りを見回して自分のカバンを探したが、芹香の持ち物らしきものは何も見当たらない。
きっと車に乗せられる時に落としたんだ──スマホはカバンの中。連絡をする手段も、捜索をしてもらう術も芹香は持ち合わせていなかった。
どうしよう……このまま誰にも見つけてもらえないかもしれない。お父さんとお母さんとお兄ちゃんにも二度と会えなかったら──そう思うと自然と涙が溢れてきた。
その時だった。窓の外から人の声が聞こえた気がしたのだ。
犯人かもしれないと察知した芹香の体は硬直し、心臓が早鐘のように打ち続け、息が出来なくなる。
どうしよう、どうしよう、怖い……! ──恐怖に体が震え、大粒の涙が頬を伝っていく。
バンッと勢いよく扉が開けられたかと思うと、たくさんの黒ずくめの人々が入り込んできた。
「芹香さん!」
その人だかりの中で、スーツ姿の眼鏡をかけた男性が芹香の名前を叫んだ。彼は床に転がったままの芹香を見つけると、どこか安堵したように駆け寄ってくる。
すぐさま口元の布を取り外され、彼の優しく大きな手が芹香の髪を撫でた。その間に別の人間が足と手のロープを切ってくれていた。
「大丈夫ですか? 怪我などはないですか?」
「……明智……さん……?」
「えぇ、そうです。担架を早く。今すぐ彼女を病院に搬送してくれ」
明智誠吾は周りの人達に的確な指示を出しながら、芹香を安心させるように微笑んだ。
誠吾は大学生の時に芹香の父親の会社でインターンとして働いており、勉強を見てもらったこともある。よく知った顔を見つけ、芹香はホッとして体の力が抜けていく。
「明智さん……怖かった……すごく怖かった……」
大粒の涙が零れ落ち嗚咽を漏らす芹香の体を毛布で包み、強く抱きしめる。
「もう大丈夫です。安心してください。すぐにご家族にも会えますからね」
彼の腕の温もりに包まれ、芹香は小さく頷くと、ゆっくりと意識を失った。
きっと車に乗せられる時に落としたんだ──スマホはカバンの中。連絡をする手段も、捜索をしてもらう術も芹香は持ち合わせていなかった。
どうしよう……このまま誰にも見つけてもらえないかもしれない。お父さんとお母さんとお兄ちゃんにも二度と会えなかったら──そう思うと自然と涙が溢れてきた。
その時だった。窓の外から人の声が聞こえた気がしたのだ。
犯人かもしれないと察知した芹香の体は硬直し、心臓が早鐘のように打ち続け、息が出来なくなる。
どうしよう、どうしよう、怖い……! ──恐怖に体が震え、大粒の涙が頬を伝っていく。
バンッと勢いよく扉が開けられたかと思うと、たくさんの黒ずくめの人々が入り込んできた。
「芹香さん!」
その人だかりの中で、スーツ姿の眼鏡をかけた男性が芹香の名前を叫んだ。彼は床に転がったままの芹香を見つけると、どこか安堵したように駆け寄ってくる。
すぐさま口元の布を取り外され、彼の優しく大きな手が芹香の髪を撫でた。その間に別の人間が足と手のロープを切ってくれていた。
「大丈夫ですか? 怪我などはないですか?」
「……明智……さん……?」
「えぇ、そうです。担架を早く。今すぐ彼女を病院に搬送してくれ」
明智誠吾は周りの人達に的確な指示を出しながら、芹香を安心させるように微笑んだ。
誠吾は大学生の時に芹香の父親の会社でインターンとして働いており、勉強を見てもらったこともある。よく知った顔を見つけ、芹香はホッとして体の力が抜けていく。
「明智さん……怖かった……すごく怖かった……」
大粒の涙が零れ落ち嗚咽を漏らす芹香の体を毛布で包み、強く抱きしめる。
「もう大丈夫です。安心してください。すぐにご家族にも会えますからね」
彼の腕の温もりに包まれ、芹香は小さく頷くと、ゆっくりと意識を失った。