Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜
「嫌なわけないです……。あなたが私を求めてくれる……そんな幸せなことってないわ」
「芹香さんを愛していると自覚してから、あなたに近付く男が許せなくて……昨夜もイライラしたものですよ……」

 意味がわからず、芹香はゆっくり記憶を辿っていく。きっとパーティー会場で太一に絡まれた時のことだろうと思い当たる。

「あぁ、太一くんですね。副社長の息子の……」

 そこまで話してハッとする。犯人かもしれない副社長の息子。そして芹香が会場を出る直前まで一緒にいた人物なのだ。

「あの……彼も共犯である可能性は……」
「それについては、後ほど詳しい話があるでしょう。ただ前回の事件の時はまだ学生でしたが、父親と共謀していたという説は濃厚だと思います」
「そうですか……」
「あなたをこのままこの部屋に閉じ込めていれば安全なのでしょうが、そんな仮初めの安全は長くは続かない」
「えぇ、また次の手を考えてくるでしょうね」
「だからこそ、早めに尻尾を掴みたい。昨夜の行動を考えれば、彼は相当焦っているに違いないでしょう。なるべく早めに次の手を打ってくることが予想されます。今日の仕事中、私もなるべく芹香さんのそばを離れないようにしますが、あなたも十分気を付けてください」

 芹香は頷いた。きっと私は(おとり)。怖いけど、ここでやらなければ不安は一生付きまとうかもしれない。今は明智さんを信じるしかないんだ。

「……もし私に何かあっても、最後は明智さんがちゃんと見つけてくださいね」

 すると誠吾は芹香の左手を取ると、薬指の付け根にキスをする。

「縁起でもないことを言わないでください。あなたは私が守る」

 二人は見つめ合い、お互いに強く頷く。今度こそ終わらせるのだと心に誓ったのだ。
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