Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜

エピローグ

 目が覚めた時、五年前と同じように芹香は病院のベッドの中にいた。ただ違うのは、芹香の手を握り、髪を撫でる誠吾がそばにいたことだった。

 誠吾からの話では、今回の犯人は副社長親子によるものだった。社長に黙って海外の事業に投資をした結果抱えてしまった負債を、バレずに補填しようとしたことが動機だったらしい。

 最初はシラを切ろうとした副社長だったが、誠吾が集めた証拠を見た瞬間、諦めて全てを話したそうだ。

 五年前の事件は副社長の単独犯で、実行犯を雇うことで金だけを手に入れることに成功した。だからこそ、今回のことを思いついたのだ。

 今回芹香が連れ去られた際には、副社長の行きつけのカントリークラブ方面だったこと、その付近にあった空き家を調べ上げることで行き先を絞った。そして社長の力でヘリコプターをチャーターし、現地の警察と先回りをすることに成功したのだという。

 あまりの出来事と情報量の多さに、薬で眠らされていた芹香の頭は混乱したが、それも誠吾の一言で吹っ飛んでしまった。

「あなたのお父様から許可は頂いてます。今日は警察で話をした後は、ゆっくり休んでいいそうです」

 今日は土曜日だし、休むのは当たり前じゃないの? そう思った芹香の耳元で誠吾が囁く。

「昨夜は大変でしたからね……今夜こそは私の家でゆっくり過ごしましょうか」
「あ、明智さんの部屋で……⁈」

 驚く芹香にキスをすると、誠吾は不敵な笑みを浮かべる。

「まぁゆっくりよりも、もっと他にすることがあるかもしれませんがね」
「……!」

 真っ赤になる芹香を楽しそうに見つめていた誠吾の目に、胸元で輝くバラのネックレスが目に入る。誠吾はベッドに腰掛けると、芹香の体を抱き寄せた。
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