僕の特技は秘密です
文化祭から2週間。

おかしい。

明らかにつーちゃんからのメッセージが減った。
やっぱり別れ際にキスはしておくべきだったのか!?
ヘタレと思われたか!?

いや、つーちゃんは男とのキスとか慣れているそんなタイプではなさそうだし…。

夕食の後、部屋に戻らずにリビングでテレビでも見て気を紛らわそうとしているのだが、どうしてもつーちゃんのことを考えてしまう。

「もう、旺ちゃん動かないで!」

雅が勝手に僕の頭をおもちゃにして色々なヘアピンを差して遊んでいる。

「雅…。お兄ちゃんは女心がわかってないのかも…」

雅を捕まえてギュッと抱き付く。

「待ってるだけの男はカッコ悪いわよ!」

夕飯の片付けをしながら母さんが言う。

「別に待ってるだけってわけじゃ…。」

「旺ちゃん頑張れー!」

頑張れって言われたって何をどう頑張れば良いのか…。
ただ、受験勉強に集中しているだけなら連絡した方が邪魔になるじゃないか。

「あっ!パパだ!」

ガチャっと玄関の扉が開く音に雅が反応し、出迎えに走っていった。

「あら、おかえりなさい。夕飯召し上がるなら支度するわよ?」

「ああ。たのむ。」

と言って、支度ができるまで父さんは上着を脱ぎリビングのソファに座る僕の隣に座った。
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