僕の特技は秘密です
たくさん歩き回り、2人でめいいっぱい楽しんだと思う。だいぶ疲れたので、校庭側のベンチに座り休憩をした。

「この後って自由解散なの?それなら家までおくるよ。」

「最後に教室に戻って点呼があるの…。その後はクラスのみんなでお疲れ様会があって…」

「そっかー、なら、残念だけど1人で帰るよ。」

校門の所までつーちゃんが送ってくれたのだが、この手を離したら直ぐにサヨナラしなければならない気がして手を離せずにいた。

「受験が終わったらゆっくり会えるようになるって思っていい?」

「うん、大丈夫。」

「じゃあ、今日はこのまま帰るよ。楽しかった。」

「うん。今日はありがとう。」

このまま引き寄せてキスしたいなぁ…。なんて思っていると段々こちらに近づいてくる男子生徒がいた。

…ぁあ。大吾くんだ。めっちゃイラついた顔している。

「旺介さん、すみません、集合時間に遅れるので椿連れていきますね。」

「あぁ、うん。引き止めてしまったみたいでごめん。またね。」

「えっ、あ、うん。また…。」

大吾くんはつーちゃんの手を掴み、そのまま連れて行ってしまった。

さて…。今日一日を一緒に過ごして僕の気持ちは少しでも伝わっただろうか。

あれだけ長時間、恋人繋ぎをしていてもつーちゃんは嫌がらなかった。つーちゃんも僕のことを想ってくれているといいなぁ。
まぁ、少なくとも嫌われてはいないはずだ。
僕は少し自信が出てきた。
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