僕の特技は秘密です
つーちゃんには大吾くんとの結婚の話が無くなったこととお婆さんの施設の取り壊しが無くなったことだけを伝えてもらい、僕が直接会いに行ったことや僕がたてた計画などは秘密にしてもらった。

つーちゃんは僕がお願いした通り、早い段階で大吾くんと話をし僕と付き合うことになったと報告して彼からの告白を断ってくれた。
彼女の胸につっかえていた様々なものが解決し、つーちゃんは無事に志望校へ合格したと報告してくれた。
しかも、その志望校は僕と同じ大学だと言う。4月からは一緒に大学へ通えるのだ。
僕にとっては予想外のサプライズだった。



そして、今日はつーちゃんの高校の卒業式。

スーツに身を固め、介護施設の完成図を持った。

「父さん、今日は僕の車とチェンジして!」

というと、僕の姿をみてしぶしぶ頷いてくれた。
父さんの車はリムジンなので運転手付きなのだ。

リムジンで彼女の通う高校の門の前まで行く。ここに来る途中、一部渋滞があったがそのおかげで卒業式終了に合わせぴったりと到着したようだ。
ぞろぞろと校舎の昇降口から生徒たちが出てきた。

当然、田舎の学校ではこの車は目立つ故、ちらほらこちらを指さしている生徒がいた。
だけど、今日はかっこよくキメるとずっと計画していた。他の生徒のことなんか気にしない。
しばらくするとつーちゃんが出てきた。
つーちゃんよりも先に梨香子ちゃんが気づきこちらを指さす。
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