ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
店員が、髪留めとイヤリングも持ってきた。

「ぜひ、これも。」

笑顔で勧める。

「…はい。」

若葉は仕方なく言われるままに、身に着けた。

店員がタグを切り、着て来た服を入れる大きめの紙袋を用意してくれた。
服を詰め終わりレジへ行くと、既に会計は終わっていると告げられた。
カードで分割払いする予定だったのに、東堂さんに渡すには現金おろさなくちゃ・・・。
と考えながら若葉が店を出ると、店の向かいの壁に東堂さんがもたれて待っていた。

若葉が東堂さんのところへ行くと、

「キレイだ。本当によく似合ってるよ。」

と、東堂さんはなんのためらいもなくスラスラと照れるような言葉をかけてきた。

そんな東堂さんに若葉は照れながらも、

「おいくらでしたか?」

と、聞くと、

「僕が勝手にしたことだから。」

と言って、頑なに教えてくれなかった。若葉は仕方なしに

「では、お言葉に甘えてさせていただきます。ありがとうございました。」

と、丁寧にお礼を言った。

そのまま前を歩く東堂さんに付いていくと、水族館に着いた。

あ、洋服騒ぎで水族館が18:00までって教えるの忘れてたわ。

「あ、あの東堂さん、水族館なんですが・・・。」

と言いかけると、東堂さんは水族館の前に立っていたスーツを着た女性に、

「予約した東堂ですが。」

と、言った。すると女性は、

「東堂様、お待ちしておりました。本日は誠にありがとうございます。貸し切りのお時間は
一時間でございます。ゆっくりお楽しみ下さいませ。」

と言った。東堂さんは、

「ありがとうございます。」

と、その女性に言うと、すぐに若葉の方に向き直り、

「じゃあ、行きましょうか。」

と言った。若葉は驚きつつも、

「・・・はい。」

と、答え、東堂さんの後について行った。
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