結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「……わかった」

きりりと眉を吊り上げている杏花の頭をくしゃくしゃと撫でてなだめる。

「もう離れない。パパは、ママと杏花のそばにいる。ずっと」

一歩間違えればふたりを失っていたかもしれないと思うと、自分が情けない。

俺がふたりのそばにいれば、起こらなかった事件だ。二度と彼女たちをこんな怖ろしい目に合わせたくない。

もう離れない。俺にふたりを守らせてほしい。

そんな意志が伝わったのか、杏花はようやく落ち着いて、小さな手で俺の指をそっと握った。


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