結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
私だって、以前はそう信じていた。

けれど、理仁さんのお祖父様から拒まれて、漠然と自分ではいけないのだと悟ったのだ。

私は理仁さんのお相手に相応しくない。越えられない身分差が存在するのだと。

とはいえ、心の奥底では納得できずにいたのも事実だ。こんなにも愛しているのになぜ、そばにいてはいけないのかと。

そんな意志の脆い部分を突かれ、動揺する。

「そろそろ、君の本音を聞かせてくれないか」

唇を引き結び、苦悶を堪えるように顔を上げる。

理仁さんに愛されて嬉しい、でも不安で怖い、このぐちゃぐちゃな感情こそが今の私だ。

「私と一緒になることで、あなたが不幸になるのが耐えられません。あなたの幸せを奪い取ってしまうのが怖い」

「逆に、君たちと離れることで俺が不幸になるとは考えないのか? 愛する女性、愛する子どもと離れ離れの一生を送れと?」

理仁さんの言葉に閉口する。彼の言うことももっともで、自分の考えが本当に正しいのか、価値観がぐらりと揺らぎ始めた。

「菫花。結婚しよう」

理仁さんの口から飛び出したのはシンプルなプロポーズ。

呆然としていると、シャツの裾をくいくいと引っ張られたことに気づき、目線を下ろした。

「ママとパパ、けっこんしゅゆ?」

結婚なんて言葉、二歳半の杏花にわかるのだろうか?

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