結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
不思議に思いながらも「杏花はどうしてほしい?」と尋ねてみる。なんとなく杏花の口から私の心を突き動かす言葉が出てくるような気がして。

「ママとパパ、ぜんぶいっしょ。ももか、みっちゅがいい」

人さし指と中指と薬指を一生懸命に立てて、ちょっぴりへたっぴな『三』を作る。毒気を抜かれ、私は笑みをこぼした。

「杏花。そういうときは、『みっつ』じゃなくて、『さんにん』って言うのよ」

「しゃんにん」

「そう。三人」

杏花だって、パパとママがいた方がいいに決まっている。

――ううん、きっと理仁さんだからこそパパと認めたのだろう。だって、オーナーのことは『パパ』だなんて呼ばなかったもの。

直感でこの人が自分の父親になると理解したのだ。

「ごめんなさい、理仁さん」

これ以上、嘘をつき続けるのは、理仁さんにも杏花にも失礼だ。罪を背負う覚悟で、すべて打ち明けようと心を決める。

「あなたが思っている通り。杏花の父親は――」

言葉を切ると、理仁さんは大丈夫とでも言うように穏やかな笑みを浮かべた。

「家族になろう」

ただ頷くことしかできなくて、小さな声で「……はい」と漏らす。

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