結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「菫花は他人を貶めるようなことは口にしない。あなたは優秀な人間なのかもしれないが、他人を蹴落としてのし上がろうとする卑劣な一面を持っている」

「それはっ……その女が本心を言わないだけよ! 人間は誰でも他人を蹴落とす。それが生存本能だもの!」

「そうか? 怯えているように見えるが」

三原さんがぎりっと歯がみする。本人にも自覚があったのかもしれない。

「……見栄ばかり張っていると疲れないか?」

理仁さんのふとした問いかけに、三原さんは警戒するように一歩あとずさり「え……」と声を詰まらせた。

「俺は疲れるよ。余計な駆け引きや、探り合いはもうたくさんだ。他人の羨望などどうでもいい。誰にどう思われようとかまわない」

「っ、それは! あなたが藤ヶ音家の人間だから、そんな余裕ぶっていられるのよ!」

「あなたこそ、一流の経歴を持っているんじゃなかったのか? 誰になにを言われても堂々と胸を張っていればいい」

三原さんはぎくりと体を強張らせる。自分を一流と自負しながらも、どこか引け目を感じているのはなぜか。

――三原さんの一流は、理仁さんが隣にいて完成するのかもしれない。

だからこそ、こんなにも理仁さんと結婚したがっているのね……。

でもそれは愛じゃない。理仁さんを選ぶ理由にはならない。

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