結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
なるほど、と私は唸りをあげる。今日ここに来ているのは、みんな大株主や経営者などの大金持ち、あるいはその関係者なのかもしれない。

観覧車を降りた私たちは、スイーツワゴンのあるエリアに向かって歩いた。

不意に理仁さんがグッズのワゴンに立ち寄り、白ウサギの耳がついたカチューシャを手に取る。

「今日は身分のはっきりした人間しかいない。杏花にいたずらをするような悪いやつもいないから、もう少し気を抜いて大丈夫だ」

そう言うと私の頭にカチューシャをつけた。突然のことに驚き、私は「わっ」と大きく瞬きをする。

「菫花はここに来てから、杏花のことしか見ていないだろう?」

「え……」

指摘されて初めて気づく。視線の向かう先は常に杏花で、周りの景色などろくに見ていなかった。

強いて言えば、杏花が「トイレ」と言ったときにすぐ駆け込めるような場所がないか辺りを見回してはいたが。今杏花はトイレトレーニング中で、おむつを併用しながらトイレにも行く。

「杏花のことは俺もよく見ているから。もう少し楽しんで」

理仁さんの手が、私の頭を撫でる。かと思えば、ひょっこり立っているうさ耳をピンと弾いた。

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