謎多き旦那様の嘘、または秘密
口の中は渇いており、水が通った場所が潤うのを感じた。
「ずっと魘されていた」
「わ、私、帰らないと」
言いながら、気づいた。
どこへ?
ここは、私の家だ。
ここは私の部屋で。
「……どこに」
口から漏れた。どこに帰れば良いの。
そんなことをこの人に尋ねても仕方ない。
「……僕は、君のことが好きだった」
その言葉に、息を呑む。
「クリーニング屋の受付で、君が笑っているのを見るとこの世も捨てたものじゃないなと思っていた」
コップを取られ、ベッドサイドの棚に置かれた。