謎多き旦那様の嘘、または秘密
「君の腕に消えない痣を見たとき、この世を呪った」
彼は淡々と語る。
最初から、ずっとそうだった。
「店に行くと君が出勤していないと聞いて、ここまで来たら、窓から君が落ちてきた」
どうして家が分かったのか、という疑問はない。きっとすぐに知ることが出来たのだろう。
「……私を殺しに来たわけじゃ、ないんですね」
へら、と笑ってしまう。
なんだ、びっくりした。
「僕は君は死ぬと思っていた」
確かに、あんなに血が出ていれば。
「だから、頭に血が上って判断を誤った」
自嘲する顔に、私は首を傾げる。