課長に恋するまで
 クラブに行くと昨日と同じ男性のフロント係がいた。

「ご紹介がないと中には入れませんよ」

 フロント係に言われた。

「紹介ならあります。今いらした三友商事の上村幸一さんに聞いて下さい。私は三友商事の一瀬美月です。上村さんに紹介してもらいます」
 
 フロント係が意外そうに眉を上げた。

「少々、お待ちください。確認してまいります」

 フロント係はそう言って、店の奥へと向かって行った。
 待っている間、ドキドキする。
 課長は私の名前を聞いてどう思うだろう。
 とんだ邪魔が入ったって思うかな。

 こういう所に来るのって、息を抜きに来るんだよね。
 部下になんか会いたくないよね。

 フロント係を待ちながらどんどん気持ちが弱くなっていく。
 さっきはホステスに対しての悔しさでいっぱいだったけど、課長の事を考えたら弱気になった。

「一瀬様、お待たせしました」
 フロント係の声にハッとした。
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