課長に恋するまで
 
 私がいるのはゆかりさんのマンションだった。
 酔いつぶれて、完全に意識を失ったそうだ。それでゆかりさんが連れ帰ってくれたらしい。

 ゆかりさんがコーヒーを淹れながら説明してくれた。

「上村さんに迎えに来てもらおうかとも思ったんだけどね。美月ちゃん、上司にそんな迷惑かける訳にもいかないでしょ?」

 ダイニングテーブルの前に座りながらゆかりさんが言った。
 私は向かい側に座っていた。

「はい」

 課長にこの失態を知られなくて良かった。
 ゆかりさんの気遣いがありがたい。

「本当に昨夜はご迷惑をおかけしました」
「いいのよ。美月ちゃんからいろんな話を聞けて楽しかったし」
「私、何言ったんですか?」
 ウィスキーを飲んだ後の記憶がほとんどない。
「内緒」
 ゆかりさんが意地悪く微笑んだ。
 男の人はこういう表情に弱いんだろうな。
 課長も弱いのかな。そんな事を考えていると、ゆかりさんが真っすぐな視線を向けて来た。

「私ね、上村さんの事好きなの」

 ハッキリとしたゆかりさんの声が耳に響いた。
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