愛のかたち
 今日も買い物からスタートする。昨日予定していた中華にするつもりだった。昨日の様子から、必要な米の量やスープの量はわかったが、メインのおかずの量が足りていたのかどうかが分からない。全員残さず食べてくれたが、基準は、自分と翔なのだ。こういうことは、飲食店をしている実家の両親に聞けば一番手っ取り早いのだが、最近電話したのは、一ヶ月前の翔との離婚報告が最後だった。何となく連絡するのは気が引ける。一度社員にアンケートをするのがいいだろうかと考えた。
 
 買い物から戻ると野上がキッチンにやってきて、コーヒーを淹れながら今日の献立を尋ねた。

「今日は、エビチリと春巻き、具だくさんの春雨スープの予定です」
「うーわ、旨そう。じゃあ今日も出来たら教えてね。……本当は、個人的に俺だけの為に作ってくれたら嬉しいんだけどね」

 冗談とも本気ともとれそうなことをさらっと言ってから、野上はふわりと笑った。
 野上のような外見も中身も非の打ち所がない男性からそんなことを言われて、ドキドキしない女性はいないだろう。
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