愛のかたち
「その時彼女、別れた彼氏が作った借金の返済があるからとか言ってて、その話を俺真剣に聞いててさぁ。どんどん酒勧められて、気付いたらベロベロで」
「それで、ホテル行ったんだ」
「いや、違うんだ。俺、こんな状態で家帰れないから、近くのビジネスホテルで休んでから帰るって言って店を出たんだ。そしたら何故か彼女がついてきて。心配してくれてんのかと思って、ホテルに着いてから『大丈夫だから』って伝えて彼女には帰るように言ったんだ。それで俺そのまま寝ちゃったんだよ。でも、目が覚めたらまだ彼女がいて。それっぽいこと言われて……」
「そんなの――」
「おかしいけど……絶対に何もないと思ってたけど……、覚えてないだけに知らないとは言えなかったんだ」

 翔が嘘を言っているとは思えなかった。

「翔ちゃん、騙されたの?」

 言ってから、この言葉は恐らくプライドの高い翔が一番言われたくない言葉だろうと思った。
 翔は何ともいえない表情で頷きながら、「そうだ」と言った。
< 60 / 69 >

この作品をシェア

pagetop