愛のかたち
「彼女とは、本当に何もなかったんだ。何度か病院には付き添ったけど。でも、騙された俺が悪いんだと思って、彼女を責めることはしなかったよ。いつか健太に言われたように、罰が当たったんだと思った。お前に憎まれ口ばっか叩いてたから……」

 翔の口から出た言葉とは思えなかった。

「翔ちゃん……私はそんなふうに思ってなかったよ。確かに翔ちゃんはプライドが高いし、ちょっと強引なとこがあったりするけど、私のこと想ってくれてる気持ちはちゃんと伝わってたからね」

 翔は何も言わず、彩華を見つめていた。

「私ね、優柔不断で物事をなかなか決められなかったりするから、何でも即決できて引っ張っていってくれる翔ちゃんの男らしさに惚れたんだと思う。きついのは口調だけで、本当は優しいこと知ってるから」
「そうか……」
「本当はね、別れたくないって縋ってほしかった」

 つい漏らしてしまった本音に、翔が目を見張った。
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