甘く、溶ける、君に。
「……遥乃」
何故だか一瞬、千輝くんの瞳が切なそうに揺れた気がして。
でもそれはほんの一瞬。
次にはもう、その顔が目の前。
鼻と鼻が触れ合って、少し動けば唇が触れ合いそうな距離。伏し目になった彼のまつげの影が、私に落ちる。
息が止まる。体が動かない。
この距離、耐えられない。すぐに突き飛ばしたいのに、できない。
さっきの女子とは違う、千輝くんの香水の匂いが鼻をかすめる。
固まって動けない私とは対照に、きみは余裕そうに口を開く。