甘く、溶ける、君に。
視線を向ける。さっき、迷惑だと感じた集団の方へ。
集まっていた10人くらいの女子が一斉に私の方を見ていて、その視線はトゲを指すような鋭いもので。
その中からスッと現れた声の主______千輝くん。
彼だけが私に対して針のような視線を向けていなくて、ゆっくり近づいてくる。
千輝くんを見るともれなくその後ろの女子たちも目に入って顔を背けたくなるけど、千輝くんから背けられない。
私の目の前に立った千輝くん。
周りは私たち二人に近づこうとせず、妙な空間ができている。
「……遥乃のこと、待ってたんだけど」
「なん、で」
自分でも、驚くくらい小さい声で。
思うように声が出なくて戸惑う。