実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
***


 慣れない夜会で存外疲れていたらしいわたしは、馬車の中で一人、ウトウトと微睡んでいた。規則的な揺れが気持ち良いし、何だか余韻みたいなものを感じてしまう。


(ホント、楽しかったなぁ)


 たとえそれが意図的に作り上げられたものであったとしても、自分が自分らしくいられる場所があるのは有難い。お姫様扱いでありながら、それだけじゃない絶妙な扱いが、今のわたしにはとても心地良かった。


(……お父さんとお母さんは今頃どうしているかな?)


 段々と城が近づいてきている。街の灯りを眺めていると、両親と暮らした町のことが思い出された。


(頑張ろう)


 早くお父さんとお母さんに会いたい。おじいちゃんに『会わせても良い』って思ってもらえるように、及第点を叩きださなきゃいけない。

 全てはわたし次第。

 折角こうして息抜きもさせてもらったのだし、頑張らないと――――。


「――――――ライラに一目会わせてください!」


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