だって、恋したいもん!
第九十六話 私の知らない頃の彼
そして土曜日、
私は晩ごはんのおかずを買うために彼のバイト先へと自転車で向かっていた。
梅雨入りしたもののいいお天気♪
気温も25℃を超えて汗ばむほどの夏日だった。
お店が見えてくると店先にお客さんがいた。
近づいてみると…
理佐「あれ?おぜちゃん?♪」
尾関「おぉー理佐ぁー♪」
理佐「お買い物?」
尾関「うん、お母さん捻挫しちゃって…」
理佐「えー!大丈夫なの?」
尾関「うん、歩けなくもないんだけど…」
義雄「尾関、じゃあ1500円ね」
と、彼が店の奥から出てきた。
理佐「あ、西野くん♪」
義雄「あ、渡邉さん♪どうしたの?」
理佐「うん、お母さんにお買い物頼まれて…」
義雄「あ、そうなの?」
尾関「じゃあこれ5000円でお願いね」
義雄「うん、ちょっと待っててね」
と、また彼は店の奥へとレジを打ちに入って行った。
理佐「おぜちゃん、ずっと前からここ来てるの?」
尾関「うん、もう小さい頃から来てるよ」
理佐「へぇ~そうなんだ」
尾関「高校入って同じクラスの子がバイトしててびっくりしたよ」
理佐「そうだったんだ…」
義雄「お待たせ、じゃあ3500円お釣りね」
と、彼がおぜちゃんのお釣りを持って出てきた。
尾関「ありがとう」
尾関「理佐何買うの?」
理佐「うん、お母さんが何でもいいって言ってたけど…」
理佐「西野くん何がいいかな?」
義雄「焼き魚?それともお造り?」
理佐「焼いたのがいいかな♪」
義雄「ハモが美味しいけどちょっと高いかな?」
理佐「うん…それでもいいと思うけど…」
理佐「何かお任せで選んでもらってもいいかな?」
義雄「うん、わかった」
と言って彼は店先に陳列されている焼き魚を選び始めてくれた。
尾関「理佐、帰り急ぐ?」
理佐「うぅん、大丈夫だけど…」
尾関「帰りにアイス食べてかない?」
理佐「え、アイス?♪行く行くー♪」
義雄「渡邉さん何人分だっけ?」
理佐「あ、四人分ね♪」
義雄「じゃあ鰆の付け焼きと、スズキがいいの入ってるからスズキの塩焼きと、キスとゴマ鯖にしとくね♪」
理佐「キス…… あ、うんありがとう♪」
義雄「ちょっと叔父さんに言ってくるね」
理佐「あ、うん無理言わないでね」
義雄「うん、大丈夫!」
そう言って彼は店の奥に入っていった。
尾関「いつもあぁしてまけてくれるんだよ」
理佐「そうなんだ…」
おぜちゃんは私の知らない頃の彼を知ってるんだなぁ…
義雄「お待たせ!渡邉さんも1500円でいいって」
と、包装紙に包まれた商品を手に持ち店の前まで出てきてくれた。
渡邉「え、大丈夫なの?すごいサービスしてもらってないかな……」
義雄「うん、大丈夫だよ…いつもこれぐらいだよね尾関!?」
尾関「うん、うちもいつも四人分だから一緒だね♪」
理佐「そうなの…? ありがとう…♪」
と、言って代金を支払っておぜちゃんと店を後にした。
第九十七話へつづく…