だって、恋したいもん!
第九十八話 その意気その意気♪
そして土日も私は練習に明け暮れた。
失敗しないように一生懸命に…
新歓の時みたいに講堂いっぱいになるのかな?
緊張するなぁ~
でもピアノの発表会みたいに一人じゃないから心強いな♪
彼も側にいるし♪
もう一回、木曜日にみんなで練習出来るからそれで自信つけないとな。
それにしてもあの後輩の子たち…
どうしよう……
すごいアピールしてくるし…
でも西野くん全然気づいてないし…
確かに茜や美波たちがあれだけ言ってるのに全然わかってないんだもん…
どうなるんだろう…
私……大丈夫かな……?
好きでいられるかな……?
いや、ダメダメ!
今は昼コンのことに集中しよう!
すると…
ピンポーン、
と、インターホンが鳴った。
部屋の窓から見おろすと茜がいた。
窓を開けて茜に呼び掛けた。
理佐「茜ー、どうしたのー?」
茜「うーん、遊びにきたー♪」
理佐「あ、そうなの? すぐ開けるねー」
と、言って玄関へ降りていった。
理佐「どうしたのー急に?」
茜「うん、練習進んでるか見に来たの♪」
理佐「とりあえず上がる?」
茜「うん、お邪魔しまーす♪」
母「あら、あかねんいらっしゃい♪」
茜「あかねん?? あ、お邪魔しまーす」
母「いちご大福あるから持って行きなさい♪」
理佐「ありがとう♪」
茜「ありがとうございまーす♪」
そして部屋へ行くと茜がピアノの前に座り、
茜「よくこんなの弾けるよねー、感心するよ」
理佐「え、茜こそ!ドラムやってたなんて全然知らなかったもん」
茜「うん、兄貴の影響でね…でも中学で運動部入ってからは全然やってなかったから久しぶりだよ」
理佐「でもあれだけ出来たらすごいよ」
茜「こんな形で役に立つなんて思ってもみなかったよ」
理佐「うん、ある意味ミラクルだったね♪」
茜「まさかみんなでバンド出来るなんてね♪」
理佐「美波が『軽音入る』て言った時はびっくりしたけど…」
茜「ホントうまくメンバー揃ったよね~」
茜「ま、そんなことより!」
理佐「ん?」
茜「あんた大丈夫なの?あの一年の子たち…」
理佐「あ~…うん…」
理佐「え?茜も見てたの?」
茜「そりゃわかるよー!」
茜「あんなライバルがいたなんてね」
理佐「えー、でもぉ…」
茜「まぁあの男鈍いから気づいてないみたいだけど…」
理佐「うん…」
茜「でもあたしたちが入部したからあっちも何か考えてくるんじゃない?」
理佐「えー…!」
茜「告白でもしちゃったらどうすんの?」
理佐「えー、やだぁ…」
茜「まぁ西野くんがあの子たちのことをどう思ってるかはわからないけど…」
理佐「うーん…」
茜「でも男なんてその時の気分でどうとでも転ぶんじゃない?」
理佐「えー、そんなぁ…西野くんに限って…」
茜「『限って』なんて言葉は男には通用しないよ!」
理佐「あ、ごめん……茜まだ…」
茜「え、あたし?あんな奴のことなんてどうでもいいよ!もう何とも思ってないし!」
理佐「ごめん…」
茜「いいの、あたしのことは!」
茜「それよりあんただよ!せっかく理佐が人を好きになったんだから!」
茜「西野くんだったらいいと思うから応援してるんだよ!」
理佐「うん、ありがとう…」
茜「だからあんな後輩の子たちなんかに負けてたらダメだよ!」
理佐「うん…」
茜「それにあの様子じゃ西野くんがあの子たちに気があるわけではなさそうだし」
理佐「うん…てか茜よく見てるねぇー!」
茜「まぁ何だかんだ言っても西野くんは理佐のこと気にしてるんだよ」
理佐「そうかなぁ…」
茜「もうあたしが言ってあげようか?」
理佐「ダメ、それは!」
茜「まぁとりあえずここまできたらいくらでもチャンスあるんだから、頑張んなよ♪」
理佐「うん、ありがとう」
茜「あたしはしばらく男はいいけどね…」
理佐「茜……」
理佐「でもきっといい人現れるよ!」
茜「まぁそん時は理佐よりも先に告っちゃうかもね♪」
理佐「えー、私だって!」
茜「おっ!その意気その意気♪」
第九十九話へつづく…