だって、恋したいもん!

第百六話  いつから居たの?







義雄「どぉ?いいのあった?」

理佐「あ、うん…何だかよくわかんないけど…」

義雄「そうだなぁ…オレもキーボードのことはよくわかんないけど…」

義雄「まぁでもRolandとかKORGとかYAMAHAなんかはプロでも使ってるからいいと思うけど…」

理佐「ふぅ~ん…」

義雄「あとは弾いてみてフィーリングが合えばいいんじゃないかな?」

理佐「そうだよね♪」

理佐「お年玉の貯金使っていいかお母さんに聞いてからにするね」

義雄「うん、またその時は付き合うよ」

理佐「ありがとぉ~♪」



義雄「渡邉さん帰り何か予定ある?」

理佐「あ、いえ別に何も…」

義雄「帰りマック食べてかない?腹減っちゃってさー」

理佐「あ、うん行くー♪」


と、言って二人でマックに行くことになった。


そして自転車を押して新京極を歩いて移動した。




店内に入ると午後2時すぎという時間帯もあって客足はまばらだった。


彼はチーズバーガーのセットを頼み、私はストロベリーシェイクとアップルパイを頼んだ。


二階へ行くと席はほとんど空いていたので窓際の席へ向かい合って座った。



義雄「あーよかったぁ、一人で行くのもなぁーて考えてたんだ」

理佐「あ、そうなの?」

義雄「うん、渡邉さんと会えてよかったよ」

理佐「私もちょっとお腹減ってたんだ♪」

義雄「そうなの?じゃぁちょうどよかったね」


そう言って彼は大きな口でチーズバーガーを頬張ると三分の一ほどを一度に口に入れた。


理佐「わっ!すご~い」

義雄「ふん、ほいひぃ」

理佐「よっぽどお腹空いてたの?」

義雄「ふん、ひつは」

理佐「え? 『実は』?」

義雄「ふん」

理佐「頬張りすぎて何言ってるかわかんないよぉ~」

義雄「ほめんほめん」

理佐「『ごめんごめん』て?」

義雄「ふん」

理佐「あ、ちょっとわかってきた♪」

義雄「ふんふん」

と、彼は相槌を打ちながら美味しそうに食べていた。


子供のようにがっついて食べるので口の周りはケチャップがついていた。

理佐「ほっぺたにケチャップついてるよ」

と、私は紙ナプキンを手に取り彼の口を拭いてあげた。

義雄「あ、ありがとう」

と、少し恥ずかしそうだった。


すると彼は、

義雄「あのさぁ…」

理佐「え、何?」

義雄「一度聞きたかったんだけどさぁ…」

理佐「何ぃ~…?」


義雄「渡邉さんの好きな人って誰?」

理佐「えーーー!!!」

義雄「あ、ごめん……やっぱ女の子にこんなこと聞いちゃいけないよね?」

理佐「え……いや……女の子にって言うか……」

本人に聞かれても困るんだけどぉ…


義雄「ごめんごめん、忘れて今の…」

と、彼は慌てて訂正したけれど…

理佐「何でそんなこと聞くの?」

と、私は思わず聞き返していた。


義雄「え、いや…そのぉ…」

理佐「え?」

義雄「渡邉さんみたいな子に好きになってもらえる奴ってどんな奴なのかなぁ~て、ちょっと気になって…」


義雄「ごめんごめん!もう忘れて! オレちょっとトイレ行ってくるよ!」

と、彼は慌てるように席を立ってトイレに行った。


え~!

もう…まさかそんなこと聞いてくるなんて…

と、私は唖然としていると…


「ホント困った奴だねぇ~」

と、私の背後の席から声がした。


びっくりして振り向くと由依と美波が座っていた。


理佐「え〝ーーー!!!」

理佐「いつから居たのぉー!!」







第百七話へつづく…











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