だって、恋したいもん!
第百四十七話 ほどいた髪
そして金曜日の放課後……
由依「理佐、残ってくんでしょ? 先帰るねー」
理佐「あ、うん…またね」
と、由依は先に帰ってしまった…
彼と勉強する約束をしていたので私は三組の教室へと行った。
彼と美波とおぜちゃんが三人で一つの机を囲んで話していた。
美波「あ、来たよ!」
と、美波が私に手を振って呼び掛けてきた。
美波「じゃぁあたしたちはお邪魔だから帰りましょうか?」
尾関「そだねー!お邪魔お邪魔♪」
と、言って教室を出て行こうとした…
理佐「えー、ホントに帰っちゃうのー?」
尾関「そんなの熱くて近寄れないよぉー♪」
美波「ホントホント、火傷しちゃうよー♪」
と、二人ではしゃぎながら走って行った。
義雄「ハハハ、また遊ばれてるね」
理佐「もー!」
義雄「えっとぉ…じゃあ図書室でも行こっか?」
理佐「あ、うん」
と、言って二人で図書室へと移動した。
試験前とあって何人か勉強をしている生徒たちが居た。
私たちは空いている席に向かい合って座った。
義雄「音楽の試験てどんなの出るんだろう?」
理佐「中間はなかったからわかんないよね…」
理佐「でも先生簡単だからって言ってたから授業でやったとこしか出ないと思うけど…」
義雄「オレ全然授業聞いてないしノートもとってないや」
理佐「もーダメじゃん!ちゃんとノートぐらいとっとかないと」
と、私は自分のノートを彼の方に向けて見せた。
義雄「わっ!渡邉さんむっちゃ字キレイだね」
理佐「え、そんなことないよぉ…」
義雄「いや、もう絶対勉強出来る子の字じゃん!」
理佐「もーそんなこと言ってないで早く写して!」
義雄「あ、ごめん…ありがとう」
と、彼はシャーペンをとりノートを広げ私のノートを写し始めた。
彼は黙々と私のノートを書き写していた。
私はぼんやりとそんな彼の顔を見ていた。
するとふいに彼が顔を上げて目が合った。
義雄「え………」
と、彼が言葉をつまらせている…
私は彼のことをずっと見ていたのを悟られるんじゃないかと思わず話を反らそうと…
理佐「あ、えっとぉ…何かわかんないとこない?」
義雄「あ、うん……今のところは大丈夫…かな?」
義雄「え……ずっと見てた?」
理佐「えっ!違うよ、そんなわけないじゃん!」
と、慌てて広げていた教科書に視線を落とした。
義雄「あ、ごめん……見られてたら恥ずかしいなぁ、と思って…」
理佐「そんな……ずっと見てるわけないじゃん!私も勉強したいから…」
義雄「そうだよね、ごめんごめん……」
と、言って彼はまたノートを写し始めた。
やだもぉ……不意打ちなんだから。。。
あんなに近くで目が合っちゃうなんて……
私は顔が赤くなってるのを隠すために髪をほどいた……
第百四十八話へつづく…