だって、恋したいもん!

第百八十六話  おぜちゃん♪







そして家に帰ると…



理佐「ただいま~」

母「お帰り~…すごい雨だったけど大丈夫だった?」

理佐「うん、ローソンで雨宿りしてた」

母「あらそう、他の子たちも?」

理佐「えっとぉ…」

母「何?」

理佐「説明できないけど大丈夫だったよ」

母「何それ?」


理佐「今日のごはん何ぁに?」

母「今日はクリームコロッケよ」

理佐「わぁーい、クリームコロッケ大好き♪」

母「手洗ってお皿出すの手伝ってくれる?」


と、母が言うので私は二階に上がり部屋着に着替え、洗面所で手を洗ってキッチンに戻った。



そして食器棚からお皿を出して並べていると電話が鳴ったので私はリビングの電話をとった。



理佐「はい、渡邉です」

「あっ!理佐ぁー!!」



電話はおぜちゃんからだった。



理佐「あ、おぜちゃん?どうしたの?」

尾関「西野くんと抱き合ってたんだってぇー??」

理佐「違うっ! 抱き合ってなんかなぃー!」

母「ちょっと理佐? 誰が抱き合ってたの?」

理佐「え、何でもないよー!部屋で取るからお母さん一分したら切って」


と、私は階段へと向かった。


母「ちょっと理佐ぁー?」

と、母の言葉も無視して二階の自分の部屋へと上がった。



電話を取り、親電話が切れたのを確認して…


理佐「ちょっとおぜちゃん…」

尾関「聞いたよー理佐ぁー!」

理佐「違うって!抱き合ってなんかなぃー!」

尾関「え?だって美波言ってたよ?」

理佐「美波ぃー!!」

尾関「違うの?」

理佐「カミナリが鳴ってちょっとしがみついただけだよ」

尾関「え?そうなの?」

理佐「うん、ちょっとだけだよ…」

尾関「だって美波、キスしそうだったって…」

理佐「しないよぉーそんなの!!」

尾関「だよね、そんなコンビニの前で…おかしいなとは思ったんだけど」

理佐「そりゃ肩抱き寄せられたから角度によっては抱き合ってたように見えたかもしれないけど…」

尾関「えー!!抱き寄せられたのー?」

理佐「いや…私がカミナリ怖がったから…」


尾関「ふぅ~ん…まぁでも好きなんだからいいじゃん!」

理佐「えー……でもあの三人に見られてたなんて思ってもないから…」

尾関「アハハ!でもいいじゃん!理佐の好きって気持ちはみんな知ってるから…心配してるんだよ」

理佐「えー…なんか面白がってるとしか思えないんだけど…」

尾関「まぁちょっと楽しいけどね♪」

理佐「えー!ひどぉーい! おぜちゃんまでぇー!」


尾関「でもちゃんと心配してるって!上手くいくの願ってるんだから」

理佐「ホントにぃ~」

尾関「うん、それはホント!」

理佐「うーん、ありがとう…」

尾関「あたし、西野くんなら理佐の彼氏に絶対いいと思ってるよ」

理佐「そうなの?」

尾関「うん、バイトもいつも真面目にやってるし…そりゃ授業はたまにサボったりしてるけど…でも優しいのは人一倍優しいから…だから理佐にはお似合いだと思うよ」

理佐「うん…ありがと……」



尾関「そう言えばね、あたし思い出したんだけど…」

理佐「え、何…?」

尾関「一年の時ね、西野くんと同じクラスだったじゃん?」

理佐「うん…」

尾関「その時にね『ライブハウスでライブやるからチケット買って』て頼まれて買ったんだけど…」

理佐「うん…」

尾関「『他に知り合いとか見に来てくれる人いない?』て聞かれて…」

理佐「うんうん…」

尾関「その時にね、ちょうど廊下を歩いて来た理佐のこと指差して『あのポニーテールの子とか知り合いじゃないの?』て聞かれたんだよ」

理佐「えっ……」

尾関「その時まだ理佐と喋ったことなかったから『知らない』て答えちゃったんだよ」

理佐「そうなの?」

尾関「その時西野くんずっと理佐のこと目で追ってたから…」

理佐「えー……」


尾関「ひょっとして西野くんも理佐のこと前から……」

理佐「えー……」



尾関「あ、ごめん…あたしが勝手に思っただけだから…違ったらごめんね」

理佐「あ、うん…大丈夫……」



尾関「でもあたし…絶対二人はうまくいくと思うよ!」

理佐「ありがとう…」

尾関「根拠ない自信だけど…」

理佐「うん、でもおぜちゃんに言ってもらえると何か元気出てくるよ、ありがとう…」

尾関「うぅん…あたしバカなだけだから…」

理佐「そんなことないよ、私おぜちゃん大好きだもん」

尾関「ありがとう、じゃぁあたしから西野くんに言っといてあげるよ!理佐が『好きだ』って言ってたって!」

理佐「わーっ!! ダメぇー!! それはー!!」


と、天真爛漫なおぜちゃんでした。







第百八十七話へつづく…











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